チーミングについて

組織における「チーム」の重要性が指摘されて久しい。「チーム」というと真っ先に思い浮かべるのはスポーツチームであろう。野球、サッカー等チームがいかに団結して、お互いの強味を活かしあい、弱みをカバーしあって結果を出したかについて書かれた本は多い。しかし、チームはそれだけではない。音楽における楽団やグループ、映画作りにおけるチーム、医療におけるチーム等数限りないチームが世の中には存在する。こうしたチームは、意識するしないにかかわらず、お互いが相互に補い合って一体化し、相乗効果を生み出すことで全体としての総和を最大化することに日々努力している。今日のような複雑で不安定かつ予測不可能な時代にあっては、組織や企業も個々の力だけでは激しい競争や絶え間ない変革への対応に適合していくのは容易ではない。そしてかつてないほどそれぞれの垣根を越えた協力、協働とコミュニケーション、そして柔軟性が必要とされている。こうした中、組織における「チーム」の重要性が改めて脚光を集めている。それは従来の組織のあり様とは一線を画し、共通の目標をめざして協力する常設の固定化されたグループの在り方としてのものである。そこでは、以下のようなことが必要となる。

1)明確な目標

2)共同作業を促す熟練された仕事

3)その仕事に必要な適切なスキルと経験を持つメンバー

4)十分な資源

5)指導や支援を受ける機会

 しかし、最近の組織におけるチームは流動的であり、プロジェクトやタスクフォース等ある特定のミッションを持って一時的に集まって仕事を行うようなケースが多い。ここにおいては前述の要件を整えるのは容易なことではない。そこで注目されているのが「チーミング」という考え方とスキルである。これは、人々が協働する必要性があるときに、時間や場所を選ばずに行動できる動的な活動をいう。チーム研究の第一人者であるエイミー・C・エドモンソンによれば、「チーミングとは、新たなアイデアを生み、答えを探し、問題を解決するために人々を団結させる働き方のことである」としている。そして、チーミングにおいて重要なのは学習を促す環境であるという。ここでは、仕事のプロセスに従うことよりも仕事のプロセスを発展させることに重きがおかれる。つまり、絶え間ない学習を日々仕事のプロセスに織り込むことが大事にされるのである。この点が従来の組織作りとは違う点である。すなわち、学習しながら実行するという活動の在り方が重要ということである。そこでのリーダーシップに関しては、率直に話し、質問し、アイデアを共有することを促し、集団的学習を促進するということが求められる。従来のマネジメント行動からの脱皮が始まっているようである。

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