人事制度に関して多く聞かれる質問

Q:社員の給与はどう決めるのがいいですか?

A:社員給与の決め方は、現在の日本企業における一般的な考え方としては社員の経験や仕事を行う能力(職務能力)といった「人基準」で決める考え方と社員が担う役割や仕事内容といった「仕事基準」で決める考え方があります。どちらの基準を採用するかは各企業の業態や職務内容、人事処遇ポリシー、等によって異なりますが、最近では「ジョブ型」ということ言葉が広がっているように「仕事基準」で給与を決めるという判断をする企業が増えつつあります。

社員の給与を決めるためには、こうした観点に基づいて自社の組織階層や個々の社員に求める能力、役割・仕事内容の違い・差を判断する目安のとなるものとそれに見合った給与水準が必要になります。これらを体系的に整理し、定義を明確にしたものが等級制度であり、給与水準となるものが給与テーブルといえます。特に給与テーブルは、どういう考え方で報酬を支払い、報酬水準をどこに置くかを考えて社内の部署間、職種間、階層間、等の内的衡平性(社内バランス)と社外の業界や同業等との外的衡平性(外部バランス)を考慮して設定することが重要になります。

Q:社員の評価への不満が多く悩んでいます。

A:評価制度に関して悩みを持っている企業は多く、人が人を評価する以上永遠の課題といっていいかもしれません。社員の評価に関する不満(=問題)は、制度そのものからくるものと制度運用からくるもの、評価結果の処遇への反映の仕方からくるものがあります。

制度の問題としては、本当に評価したいことが評価できる制度になっているかという評価の妥当性に関するものと誰がやっても同じような評価になるかという信頼性、わかりやすい制度になっているか、等の問題に分かれます。また、制度運用の問題は、制度理解がどこまでなされているか、評価基準に透明性があるか、評価者の評価能力の問題、評価プロセスや手続きの公平性(客観性が担保されているか)、評価内容のFBがきちんと納得いくようになされているか、部下への好き嫌いや思い込みで評価していないか、等といったことから生じているケースが多いようです。さらに評価結果の処遇への反映の仕方に関しては、意思決定者の恣意的判断が横行している、評価レベルと昇給・賞与の水準が見合わず頑張っても報われ感が少ない、等が問題点として指摘されています。

社員の評価への不満は、これまで述べてきた事柄のどこに原因があるかを突き止め、それを粘り強く解消していくことが求められます。

Q:若手社員が育たず、業務に支障が出ている。どうしたらいいか?

A:若手社員の育成は、どこの企業でも大きな問題です。一般的に、職場には人材育成の機能として「精神的な支えの提供」「具体的な職務指導」「仕事を振返りそこから学ぶことを支援」といった3つの機能が重要であることが指摘されています。育成がうまくいかない原因にはこれらの3つの機能が十分機能していないことが原因として考えられます。人事制度の観点で言えば、社員に求める職務要件(仕事内容、権限と責任、仕事を行うのに必要な経験や能力レベル、等)が明確にされておらず属人的、個人任せになっており、上司-部下間でのOJTが十分機能せず場当たり的な指導・指示になっていることがあげられます。つまり、社員が上司や先輩から自分に期待されていることや求められる経験や能力レベルに関して十分な指導を受けてないとともに成長の機会を与えられておらず、自らのキャリアステップがイメージできていないということです。こうした点を解消するためには、各職場の職務基準(何をどこまでどういうレベルで行うか、そのためにはどういう経験や教育が必要か、何に対して責任を持ち、どこまで裁量性があるか、等)をキャリアステップ別に整理し、それを育成目標として上司-部下間で共有し、OJTや育成面談・指導を通して具体化していくことが重要となります。

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