不満・苦情処理機能を担う上司

従業員が、仕事や処遇、人間関係、さらに仕事と生活の関係などに対して不満や苦情を抱き、それが解消されないことは、働く意欲を下げ、生産性や創造性にも悪影響を与え、ひいては離職につながることは多くの識者が指摘していることである。不満や苦情は、従業員の権利に関するものと利害や働く環境に関するものに二分できる。

これらの不満や苦情を解消する仕組みは、企業内では、労働組合によるもの、苦情処理機関などによるもの、人事部によるもの、職場の上司によるものなどがある。また、その性格上、公式なものと非公式なものにわけることもできる。非公式の最たるものが上司ということになろうか。

近年、こうした不満や苦情処理についての機能として、上司の役割の重要性が改めていわれている。それは、労働組合の組織率や加入率の低下、成果主義の台頭とともに人事処遇の個人化が進むなどの職場環境の変化が影響しているといわれている。つまり、不満や苦情が個別的になったこともあり、それに対応した不満や苦情処理機能として上司がクローズアップされているということである。しかしながら、上司の側は、多忙化やプレーヤー化、価値観の変化なども相まって部下の不満や苦情処理を役割として認識していないケースも多く、職場における不満や苦情が鬱積しやすい状況になっている。 また、管理職研修などの内容を見ても、上記のような役割や従業員の権利や労働法規について教育するものは多くない。

職場における不満や苦情をうまく処理できず、鬱積させることは、従業員満足度を下げ、職場内のコミュニケーションややる気にも悪影響を与えることは前述の通りである。上司の不満・苦情処理機能の重要性を改めて促したい。

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