令和の時代の重たいテーマ

令和の時代が幕開けしお祝いムード一色であったが、GWが明け世の中が動き始めると改めて新時代の重たい課題についての話も増えつつあるようである。特に、来る現実として避けられない人口減少と高齢化がもたらす深刻な影響は、徐々にその姿をあらわにしてきている。地方においてそれは顕著である。地銀の再編の動きが急速に進んでいるがそれもその一つといえるだろう。企業においても、定年を65歳に延長する動きや65歳以上でも雇用できるようにするといった取り組みが進んできている。弊社で担当させていただいている組織の中には、役職定年者や定年後再雇用者が全従業員の4分の1という組織も出てきている。こうした企業の最大の悩みは、こうしたシニア層を十分活かせず、仕事が中堅・ベテラン、何より管理者に集中して組織マネジメントがうまく機能しないということがある。また、そういった企業で共通する問題として後継者が育っていない、人材採用、育成への計画的取組みができていないことによる人員構成のいびつさがある。世はまさに未曾有の求人難時代に突入している。こうしたいびつさを是正しようにも、人員の確保がままならない企業が多いのではないか。また、中小企業に目を転じると、経営者の高齢化の問題がある。中小企業の経営者のボリュームゾーンは今や60台半ばとなってこの20年間で20歳も高齢化している。さらにこれらの経営者の後継者問題も深刻である。中小企業の休廃業、解散件数は毎年3万件前後で推移している(東京商工リサーチ休廃業・解散企業動向調査)。半面、新規に事業を起こす開業率は5%前後と先進諸国の中では際立って低い。さらに、大企業と中小企業の待遇格差の問題も年々ひどくなって、採用における苦戦の度合いは増しているようである。つまり、人口減少と高齢化は企業の減少(特に中小企業)も引き起こしているのである。この傾向はますます拍車がかかると思われる。

 こうした状況は、企業社会において人口減少と高齢化が引き起こしている現象の一部でしかない。それぞれに対策は講じられているが決め手がないのがこの問題の難しさを象徴している。しかし、物事は発想の転換が重要である。年齢で物事を判断する考え方を抜本的に見直してはどうだろう。例えば、採用における年齢区分、組織の人員構成における年齢区分、定年、年功的キャリアパス、年功的序列を重んじる制度や風土、等々高齢化が仕事の生産性を阻む背景となっている組織文化や風土、制度やシステムは多い。要は何ができる人なのか、どこまで期待に応えられる人なのかを重視した組織運営、人事施策、採用・登用を大胆に導入してはということである。ただ、シニア層に関しては、老化による肉体的個人差や働き方の柔軟性は十分配慮が必要である。昔から議論されてきたテーマではある。しかし、改めて考えてみる必要があるテーマだと思われる。その際に、近年話題になっているティール組織の成功例も参考にしてはどうだろう。ここでは、上下関係もなく、管理職もない。個々人に最大限権限移譲され、組織はフラットで柔軟な運営がなされている。もちろん、そのためにはそれが可能な風土、文化を形成する必要があることはいうまでもないが。このあたりに論じてきた問題を解きほぐすヒントがありそうである。

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