組織コミュニケーションの4つの機能

人は、労働時間のほぼ70%をコミュニケーション活動に費やしており、組織がうまく機能するのを妨げる最大要因が効果的なコミュニケーションの欠如であるという指摘がある。ここでいうコミュニケーション活動は、読む、書く、話す、聞くといったことである。こうした組織メンバーの間の意思の伝達なしに存在できる組織はないといっていいだろう。しかし、ここで問題になるのが、伝達された意思がどれだけ理解されたかである。職場で起きる様々な問題は、意思の伝達と理解、どちらか、もしくは両方が原因で起こっている。組織をマネジメントする立場にある人たちの教育においてコミュニケーションに割かれる時間が多いのはこうしたことからであろう。

 さて、コミュニケーションが組織で果たす機能には以下の4つがあると言われている。

  1. 組織メンバーの行動統制

    :これは組織に置いてメンバーが従うべきルールや指針、役職などの階層性からくる権威づけなどの情報によって人の行動が統制されるというものである。

    これは公式、非公式に組織メンバーの行動に影響を与えている

  2. やる気にさせる

    :やるべきことや現在の自分の状況や評価、状況が思わしくない場合には改善方法などの情報を伝えることで人はやる気になる。目標及びそれを達成するプロセスそのものが人を動機付けるという目標設定理論や好ましい行動の強調がやる気を刺激するといった考えが背景にある

  3. 感情表現と社交欲求の充足

    :組織に所属する人にとって、組織は社交的交流の場でもある。こうした場で自らの存在意義を確認し、感情交流を行うことで人は社交欲求を満たすのである。組織におけるこうした感情表現、発露が抑制されると人の行動も影響を受けることになるのである

  4. 意思決定を促す情報提供

    コミュニケーションには、人が意思決定を行う為の選択肢や判断基準、評価基準などの情報伝達を行うことで、人の意思決定を支援するという側面がある。こうした情報が組織内でうまくコミュニケーションされると価値観が共有され、自律的業務遂行へと人は導かれることになる

 これらの4つの機能がうまく機能して初めて組織は、健全なものとなる。昨今の職場では、メールなどのネットコミュニケーションが主で、リアルの相互交流が少なくなってきているということが言われている。これは、上記の感情表現と社交欲求の充足を阻害している側面を否定できない。また、対面コミュニケーションでしか伝わらないことも多いことを考えると、こうした側面が組織でのコミュニケーションの機能障害を起こし、そこから発生している問題も多いのではないか。対面コミュニケーションが見直されているのはこういうことが背景にあるのかもしれない。

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