高業績チームに求められる4つの技能的特徴と発展過程

高い業績を上げているチームを研究した文献は数多くある。こうした中に高業績チームに共通してみられる技能的特徴をまとめたものがある。そこには以下の4つの点が上げられている。

1)専門的技能:割り当てられた役割を完遂するための知識とスキルを有し、これらの能力を高めるためにチーム横断的なトレーニングを実施している。メンバー同士がお互いの力量を理解し、対処している

2)管理技能:会議の効果的運営、同僚による業績評価、トレーニングの実施、必要な資源入手の交渉・確保、財務的分析と検討、計画性、業績測定と目標設定、不満・苦情処理、多様性を受容し管理 といった責任をまっとうするために必要な管理技能を有している

3)対人技能:人の話の聴き方、自分の意見や気持ちを表現する方法、他人と共通の理解に達するための方法、双方が受容できる結論の導き方などを身に着けている

4)意思決定・問題解決技能:問題の優先順位を決定、データを収集・分析、複数の解決案を練り、それを評価、実施する解決法を選択、解決法を具体化し、実施する、結果を評価するといったプロセスの共有、そこに必要なツールや技法の活用がなされている

 以上が高業績チームに共通してみられる技能的特徴である。こうしたチーム作りには教育が重要な要素となる。エドワード・E・ローラーは、年間で少なくとも就業時間の5%を研修にあてるべきであると言っている。高業績チームは、こうした地道な積み重ねの上に出来上がるものということだろう。また、こうしたチームが必ずたどる発展過程として、形成期→混乱期→規範確立期→達成期といったものがある。こうしたプロセスを理解せずに、形成期や混乱期の段階で性急に成果を期待するとチームは崩壊することが多い。そして、それぞれの段階にチームへの関与の要諦があるとされている。たとえば、形成期では、相互理解の促進、明確な指示と目的の明瞭化、メンバー参加型の活動、必要な情報の提供といったことが重要となる。混乱期では、権限や権力にまつわる問題の解決、意思決定方法の透明化、チームの凝集力を高め、役割責任の積極的受容を促すといったことが、規範確立期では、チームメンバーの能力のフル活用、相互尊重・協働の風土づくりが、達成期では、絶えざる改善、チームの立場の擁護、進展を見守り、成果を祝福、変革の管理方法を受容、理解させるといったことが大事になる。組織のリーダーは、組織の現状がどのプロセスにあるかを理解し、その段階にふさわしい方法をとる必要があるのである。

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